鉄筋コンクリート住宅の特徴


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 新築のときは鉄筋コンクリート造りでという方もいらっしゃると思います。ご参考までにその特徴を述べてみます。
 まず火災に強いということが頭に浮かびます。耐火構造といい、火事になっても倒壊しないで耐えるという意味です。しかし骨組みを残して、中の造作がすっかり燃えてしまうことがあります。先年の赤坂のホテル火災がその例です。ただし建物は崩れませんので、マンション、オフィスビル、公共物など、大勢の人々が集まる大規模建築には適した工法です。そういう場所では内部の防火・防災の法規制が強められています。
 さて、この鉄筋コンクリートの住宅への利用を考えてみましょう。
 火事のときには、家の造作は木造が主体ですし、可燃物もありますから、やはり内部は燃えてしまうでしょう。内装に不燃材料、準不燃材料、防災加工材などを使う配慮は考えられます。外部からの延焼に対しては威力を発揮します。
 耐震性については、以前にも述べましたが、必ずしも強いとはいえません。十勝沖地震で一番被害を受けたのが、鉄筋コンクリート建築でした。
 生活環境の面を検討すると、まず第一に湿気が多いことが問題となります。
壁の中のコンクリートが乾くのに数年かかるといわれ、その間湿気を放出し続けているわけです。コンクリートは木の14倍も熱伝導が良いので、熱をどんどん逃がします。冬に冷え込むのはこのせいです。壁面の温度が下がるので結露して内装壁を腐らせます。
 またコンクリートは熱容量が大きく、熱量をたくさん取り込みますので、夏場の屋根に接した部屋や、西日を受ける壁を持つ部屋は、夜になると非常に暑くなります。昼間コンクリートの中に取り込んだ熱を放出するのです。クーラーをかけている時はよくても、いったん止めると暑くなるのはこのためです。
 このように見てみると健康にあまり良いとはいえません。お年寄りの方が鉄筋コンクリート住宅を嫌うのはこんなところにもあるわけです。
 遮音性は優れています。入口や窓などの開口部をきちんと処理すれば、とても静かな空間を作れます。交通騒音の激しい地域の住まいや音楽室などの併設に適しています。
 コストの面から考えると、鉄筋コンクリートの部分に相当の費用がかかりますので、木造と比較して割高になります。
 総合して住まいには積極的にお勧めできないようです。


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